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活動報告

H24.8.20 「放射線」学習会

日時:平成24年8月20日(月)午後
場所:島根県立三瓶自然館

 教員向け科学コミュニケ-ション講座の第4回目として、大田市教育研究会理科部会との共催で、講義と実験を通して放射線について学ぶ学習会を行いました。放射線についての基礎知識を講義をとして学んだ後、地域資源を活用して放射線の性質を調べる実験を行いました。

 参加者は大田市内の小中学校教員8名。講師はサヒメルの矢田研究員と、大田市立北三瓶中学校の野村啓介教諭が務めました。 前半は、放射線の種類や特徴、放射線に関連する単位などについて矢田研究員より講義がありました。参加された先生方は、防災教育、環境教育の面からも重要性が増してきている放射線の話題とあり、熱心に話を聞かれていました。

 後半は、野村教諭を講師として放射線についての理解を深める実験を行いました。今回は2つの実験を行いましたが、いずれの実験でも線源(放射線を出すもの)には、大田市にある温泉から提供していただいた、ラドン多くを含んだ温泉水を用いました。

 1つ目の実験は、霧箱(きりばこ)を用いた放射線の飛跡の観察。
 放射線そのものは目には見えないものですが、霧箱実験では放射線の飛んだ跡が飛行機雲のような白い霧として現れるため、放射線の存在を実感することができます。霧の材料となるエタノールを十分に冷却するためにドライアイスを用いて容器を冷却する際、線源の温泉水が凍ってしまうというハプニングもありましたが、放射線の飛ぶ様子を観察することができました。

  

 

 2つ目の実験は、線源からの距離と放射線量との関係を調べる実験。  
 温泉水の入ったペットボトルと放射線量計との距離を5㎝ずつ離していき、線量を測定しました。グラフをかいてみると、見事な指数関数的なグラフができました。実験後に野村教諭から、一般に放射状に広がるものの強さは距離の2乗に反比例して弱くなるという解説があり、先生方はグラフと照らし合わせて、うなずきながら話を聞かれ、実感を伴った様子でした。

 今回の参加者の多くは小学校教員でしたが、先生方からは「単元の中での位置づけなどを明確にして、小学校の教育活動にも放射線について指導したい」という感想も聞かれました。先生に、子どもへ自然のおもしろさや最新の科学技術について分かりやすく伝える「科学コミュニケーター」になってもらうことを目指 す教員向け科学コミュニケーション講座として、有意義な学習会となったと感じました。
 また今回のように理科ネット会員の先生を講師としたり、地域の教育資源を活用した実験を紹介したりすることで、会員の相互交流が深まると共に各校での実践による効果の検証などが期待でき、次につながる学習会となりました。