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活動報告

H24.10.21 「骨の学校」ワークショップ

 

日時:平成24年10月21日(月)午後
場所:島根県立三瓶自然館

 教員向け科学コミュニケーション講座の第5回目として、小学校4年生理科「人の体のつくりと運動」に関連して、骨の役割としくみについて学ぶワークショップを行いました。

 講師は沖縄大学人文学部准教授で、「骨の学校」著者の盛口満氏。午前中のイベント「骨の学校」が好評であったため、教員以外の希望者も合わせて7名の参加者での実施となりました。

 

 最初は骨の役割の解説。骨は元々、古代の魚類が敵から頭を「守る」ためにつくりだしたのが始まりで、進化の過程で背骨などのように体を「支える」ための骨もつくられるようになり、更に現在の脊椎動物へと進化する過程で手足のように体を「動かす」ための骨がつくられるようになったことなどを学びました。
 参加者の皆さんは、魚や亀、猿の頭骨の実物を見て触れることで、動物の進化と骨との関わりの深さを実感されたようでした。

 次に、実際に学校で授業をする際の課題点と方策についてお話いただきました。盛口氏からは、「普通は直接目で見ることのできない骨の動きをイメージすることが子どもにとっては難しい」という点や、「骨に対して不気味な印象や恐怖心を感じる子どもも少ない」という点が指摘されました。そしてこれらの課題点を解決する方策として、フライドチキンの骨や魚の骨など食事中に目にすることのある身近な骨を授業の導入に用いることなどの提案がありました。
 ちなみに、フライドチキン9ピース分で頭と足先を除く全身骨格標本を作ることができるということを聞いた参加者の皆さんは、驚きと関心に満ちた様子でした!!

 

 その後、草食動物と肉食動物では体の動かし方が異なるため必要とする筋肉が違い、骨の構造も異なるということも学びました。実際にシカの足の骨は、より早くより遠くへと走るのに都合の良いように関節がしっかりと固定されており、前後へ大きく足を振れるような構造になっていることなども実物の骨を使って確かめました。

 

 最後に、煮干し(カタクチイワシ)から耳石を取り出す実習を行いました。魚の耳石を取り出すのは準備の手間が少なく、学校でも行いやすい実習です。また、魚の種類によって耳石の形や大きさが異なるため、数種類の魚で比較しながら観察してみると面白いかもしれません。
 今回は、お湯でもどした煮干しから耳石を取り出しました。煮干しからは、大きさ3mmほどで白い米粒のような形をした耳石が取り出せます。実体顕微鏡とピンセットを使いながらの細かな作業に皆さん最初は苦労されていましたが、作業に慣れてくると続々と耳石が発見されました。

 参加者の皆さんの満足度は高いものとなりました。特に先生方は、教科書で扱われている内容を超えて自然の不思議さやおもしろさに触れることができた様子で、「授業に活かしたい」、「図書館での調べ学習の際に骨の話をしたい」という声が聞かれました。
 先生自身が感じた自然の不思議さやおもしろさを子どもたちに伝えることで、子どもの理科好き・自然好きの心も芽生えると考えます。子どもの理科好き・自然好きの心を育てるために、まずは先生自身が自然の不思議さやおもしろさを存分に感じられる場としての理科ネットにしていきたいと感じました。