つなごう!学ぼう サヒメル理科ネット

活動報告

H24.11.11 三瓶山ワークショップ

日時:平成24年11月11日(日)午前
場所:島根県立三瓶自然館

  教員向け科学コミュニケーション講座の第6回目として、地層中の堆積物から環境を読み取る手法を学ぶと共に、教材化の検討をするワークショップを行いました。講師は、有機地球化学や石油地質学がご専門の島根大学総合理工学部教授の三瓶良和(さんぺいよしかず)氏。当日はあいにくの天候ではありましたが、2名の先生方にご参加頂きました。

   まずは、海や湖沼での堆積物のサンプリングに用いる道具の解説や、採取したサンプルの分析方法についての説明。採取しサンプル中の有機物の濃度などを分析したり、X線写真を撮影したりすることで、水質や環境を調べることができることが話され、参加された先生からは積極的な質問がなされました。

 館内での説明の後は自然館に隣接する姫逃池でのサンプリング。器材を池の中に入れて押し込むと、池の底に堆積した刈草などの有機物から発生したメタンガスの泡がブクブクと立ち上りました!!
 数回押し込んだところで器材を水からあげてみると、アクリル管内には厚さ30㎝程度の堆積物が採取できました。実は姫逃池では10年ほど前に池の整備工事に伴い、池の縁の堆積物が取り除かれています。そのため、採取したサンプルは工事以降の10年間に堆積した泥ということになります。予想以上の厚さには、自然館スタッフも含め、驚きました。
 姫逃池でのサンプリングの最後には、記念撮影もしました。

 

 

 

 最後は、再び館内に戻ってのサンプルの観察と教材化の検討。池の水を取り除いたアクリル管を開いてみると、灰色をした粘土質の層と黒色の泥の層が観察できました。灰色の層は、10年前の工事の際に、池の水が漏れるのを防ぐために縁に敷かれた土です。黒色の層が、この10年の間に堆積した泥の層です。よく見ると草の根などが混じっており、池に生えていた植物が枯れて池の底に堆積してでたことがよく分かります。意外なことに臭いもしませんでした!!臭いがしないことこそ、陸上植物の堆積物の特徴のようです。一方で湖や海でプランクトンが堆積する場合は、硫化水素が発生しやすいため、腐卵臭のような悪臭が生じるのだといいます。 
 観察をしながら、学校での学習にどのように活かせるかについても話し合いました。専門の器材がなくても比較的安価で器材を作成できる点や、手作業でサンプリングを行える点で学校でも実践しやすいという意見がありました。またクラブ活動などで行う場合にも、児童・生徒の興味・関心の深さによらず、誰もが楽しんで活動できることも魅力だという意見もありました。

 今回のワークショップでは、地層堆積物から環境を読み取る手法があり、身近な自然からも環境を読み取ることができるということを知ることができました。今後も、先端の科学技術や知識を身近な方法を通して、また地域の教育資源を活用しながら学習できる教材について検討するワークショップを行っていきたいと考えています。